現在日本では全身黒色の服を身にまとい喪に服するというのが当たり前ですが、中国や韓国では白い喪服を着用するのが一般的のようです。しかし、日本も昔は悲しみを表すために色のついているものを着用してはいけないという謂れから、白のものが一般的でした。ではいつから現在のスタイルが一般的になったのでしょうか。きっかけは明治時代に起こった文明開化です。

初代内務卿を務めた大久保利通の葬儀には多くの欧米諸国の賓客が列席しました。その際、ヨーロッパの王室式では黒い喪服が当たり前だったので、日本の参列者にも黒をしつらえることが命じられたのです。それから上流階級の人々の間では黒い喪服が一般的となりました。しかしこれはあくまでも上流階級の人々の話で、庶民の間には広まっていませんでした。

現在のスタイルが一般庶民に広まったきっかけとなったのは戦争です。明治時代以降、日清戦争、日露戦争、第二次世界大戦と日本は様々な戦争を繰り返しました。特に第二次世界大戦では多くの方が命を落とし、それに伴い葬儀の回数も増えたのです。当時喪服は貸衣装屋から借りるのが一般的でした。

しかし着用する機会が増えれば増えるほど白のものは汚れが目立ち、手入れのしやすい黒が一般的になったのです。様々な歴史を繰り返しながらも、日本人が人を悼む思いを紡ぎながら作り上げたのが現在のスタイルです。その文化を大切にし、マナーを守り喪服は正しく着用したいものです。